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監督:李相日
出演:加瀬亮、オダギリジョー、栗山千明、柄本明 他

高い志を胸に警察官になったものの、デスクワークばかりの毎日にうんざりしていたシンゴ(加瀬)。ある日彼は、たまたま乗っていた路線バスでバスジャックに遭遇してしまう。他に乗り合わせていたのはテツ(オダギリ)という若者と、サングラスを掛けた謎めいた女、サキ(栗山)だけ。絶好の活躍の場面のはずが、シンゴは怖じ気づいてしまい何も出来なかった。それから3ヵ月後、シンゴはテツと偶然再会する。シンゴはテツに心を許し、日頃の鬱憤をぶちまける。それを聞いていたテツはシンゴを復讐請負ゲームに誘う。次々と舞い込む復讐の依頼に、2人のゲームはエスカレートしていく。そんなある日、2人はバスに乗り合わせていたサキからある依頼を受けるのだったが…。

やはりこの監督は当たりである。
これもかなり自分にはハマる映画で、「フラガール」や「悪人はストレートなよさであったが、こういった変化球もよかったのでますます良い監督という印象になった。

印象に残るシーンが多いのがこの監督の映画の印象で、
ずいぶん前に見た「フラガール」であっても駅での手話のシーンや蒼井優の表情が浮かんでくるし、「悪人」もしかりである。この「スクラップヘブン」もいくつか頭に残りそうで、その一つはオダギリジョーの最期の表情と涙である。全編を通してだがオダギリジョーはツボである。逆立ち蹴りなども含め。「食えるじゃん」みたいな台詞も。

この映画ではよく"想像力"
という言葉がキーポイントになっていて、普通の人にはもうなれない領域にいるテツやサキのそれと、根元が凡人であるシンゴのそれは全然違うものなわけだ。少し踏み外すことに楽しみを覚えた凡人と、踏み外すことにすら限界を感じてしまった者。これは互いにないものであり、そして互いに羨んでいる部分なのだと思う。一般的に悪いことをした自分を心からぶん殴れるそんな"凡人"にはなれないことを悔やむ涙。そして常軌を逸した憧れのやつには決してなれない凡人は死ぬことすら許されなかったラスト。

この映画を楽しめないやつは間違いなく凡人であり想像力が足りな
い。この映画にそんなことを言われているのではないか、と思ったときふと気付くのはもっと楽しい普通の映画が見たいなと思っている自分がいることと、こんな映画を作る監督こそ、ということだ。
監督:ダーレン・アロノフスキー
出演:ナタリー・ポートマン、ヴァンサン・カッセル、ミラ・クニス、バーバラ・ハーシー、ウィノナ・ライダー 他
原題:「BLACK SWAN」

ニューヨークのバレエ・カンパニーに所属するニナ(N.ポートマン)は、元ダンサーの母親(B.ハーシー)の期待を一身に背負い、バレエに全てを捧げて厳しいレッスンに励む日々。そんな彼女に、バレエ人生最大のチャンスが訪れる。長年バレエ団の象徴的存在だったプリマ・バレリーナ、ベス(W.ライダー)の引退を受け、新作の『白鳥の湖』のプリマにニナが抜擢されたのだ。しかし、白鳥の湖では純真な白鳥役と同時に、奔放で邪悪な黒鳥役も演じなければならない。優等生タイプのニナにとって、魔性の黒鳥を踊れるかが大きな試練として立ちはだかる。対照的に、官能的にして大胆不敵な踊りで、芸術監督のルロイ(V.カッセル)に理想的な黒鳥と言わしめた新人ダンサーのリリー(M.クニス)。彼女の台頭によって、不安と焦りが極限まで高まってしまうニナだったが…。

近年見た中でかなりいい部類に入る映画であった。N.ポートマンがここまで頑張っているとは思わなかったから
だ。「レオン」とまではいかないが「スター・ウォーズシリーズや「Vフォー・ヴェンデッタでのかわいいイメージの女優であったが、いつの間に、という感じである。
 
この映画、ほとんとが主演のN.ポートマン演じるニナの視点で描かれていて、周りの人達が本当は善人なのか、悪人なのかは最後まで度外視している。ライバルのリリーや監督のルロイ、役を降ろされたベス(W.ライダーなのがよい)などが周辺の人物であるが、あくまでニナの視点から見えた姿が描かれており、その人が本当はどういうふうに思っているか、どのように行動したか、はあまりどうでもよいのである。映画の中の「白鳥の湖」よろしく、この映画も主役のN.ポートマンのためにあるのだ。
 
そのため撮影の仕方もN.ポートマンを背中からとらえた画が多く、ニナが見ている景色が映り、その一つとして鏡を見るシーンがとても多かったりする。カメラが目の役割になっておりとても主観的である。鏡というアイテムを活かした不気味な演出が再三使われており、それ自体は珍しくないだろうが、それがただの意味の分からないホラーとは感じられず、主人公の感情表現としてうまく表されていたように感じたのはそういう一貫した映像によるからだろう。
 
その効果もあってかこの映画でN.ポートマンはアカデミー賞で主演女優賞を獲得している。この賞こそがこの映画の最高の評価と思える。他の登場人物は善か悪かも分からないただの脇役なのだから。
 
しかしそれもこれも最後の本番でのブラックスワンを最高に演じないと成り立たないわけだが、これは非常によかったと思う。メイクのせいか、演出のせいか、それはもう非常によく思える。ボディダブルの噂があるが、ダンスシーンよりも非常によいと思ったのが控室の演技であるので、やはり主演女優賞は頷けるのである。涙を化粧で拭き取る覚悟を決めた顔は、なんと言っていいか、あそこだけはサイコ映画ではない純粋なヒューマンドラマのようであった。そこだけにしておけばよかったのに、最後の最後で母親が客席にいることだけは、ヒューマンドラマになりすぎてしまいあまりいただけない。
監督:山下敦弘
出演:妻夫木聡、松山ケンイチ、忽那汐里、古舘寛治、山内圭哉 他

東大安田講堂事件が起きた1969年、理想を胸に大手新聞社に入社し週刊誌編集記者として働いていた沢田(妻夫木)は、やがて先輩記者の中平(古館)とともに活動家たちに接触、彼らの日々に密着していく。その中で沢田は“武器を奪取し、4月に行動を起こす”と語る若者、梅山(松山)と巡り会う。その決起宣言には疑念を持ちながらも、不思議と親近感を抱くようになり、取材を進めるうち次第に梅山との交流を深めていく沢田だったが…。

少しもおもしろいところがなかった。「悪人」もそうだがやはり妻夫木聡がよくない。最後の居酒屋のシーンを見るとこの映画の題材が悪いものではないことに気付く。しかしなんかもうただの意味の分からんラストにしかなってないのだ。もうちょっと苦悩をうまく表すとかあれば違うのだろうけどうすっぺらい。そのせいで松山ケンイチに至ってはただの阿呆でしかなくなっている。いやまあほんとにただの阿呆だったんだけど、それにはまってしまった妻夫木がうまくやらないとその阿呆さがうまく伝わらないわけで。

全体として非常に暗く、セリフもよく聞こえない。画質の悪いカメラで撮影しそれを拡大することでざらついた映像をわざと作り出したようで、その色を映画館の予告で観た時よいなと思った覚えがあり楽しみにしていたが、その色に映っているのが爽やか代表の妻夫木では台無しである。
監督:西川美和
出演:笑福亭鶴瓶、瑛太、八千草薫、余貴美子、井川遥、香川照之 他

山あいの小さな村。数年前、長らく無医村だったこの地に着任して以来、村人から絶大な信頼を寄せられている医師、伊野治(笑福亭)。そんな彼のもとに、東京の医大を卒業した青年・相馬(瑛太)が研修医としてやって来る。最初はへき地の厳しい現実に戸惑い、困惑する相馬だったが、村の人々に親身になって献身的に接する伊野の姿に次第に共感を覚え、日々の生活にも充実感を抱き始めていく。そんなある日、一人暮らしの未亡人かづ子(八千草)を診療することになった伊野。病気のことを都会で医師をしている娘(井川)に知られたくないからと、かづ子から一緒に嘘をついてほしいと頼まれる。しかし、それを引き受けたばかりに、伊野は次第に追い込まれていくことになり…。

ゆれる」を観た時思ったことの一つが、
役者がどっちともとれる行動をするのだけど、意図的にやっているのかが分からずおもしろい、ということだ。何かセリフを言ったとき、または何か行動したとき、ほんとにそうしたくてしたのか、それとも本心はそうではないけど意図的にしたのか、というのが微妙に曖昧でおもしろかった。「ゆれる」は結構それがうまく作用していて、香川照之の演技を見ていると、つぶやくシーンでも怒鳴るシーンでも、何も言わないシーンでも「今の本気か?」と思わされ、考えの浅い弟オダギリジョーとの対比もあいまって非常におもしろい。最後のシーンでも今のは…と考えてしまう、絶妙な名作であったと思っている。

どうもこの監督はそのへんの心の微妙なところの揺さぶりを描くこ
とを得意としているのではないかということをこの「ディア・ドクター」を見て思った。やはり役者たちは言動と本心が一致したりしていなかったりするので、本心が分かりづらい。ただ今回はそれがあまりよい方向には作用していない。そう思ったのは役者のせいでもあり、脚本のせいなのかもしれないが、この監督の得意とする心の微妙な部分を描くには少し舞台設定が単純すぎたように思える。

兄弟、という言うなら微妙で危うい設定であった「ゆれる」
でこそ発揮されたそういうよさは、医者と村人では所詮他人で、病気の母と娘では近すぎ、あまりよさが活きる設定ではなかったように思える。そういう設定で得意分野を発揮しようとしたものだから、あれ、ほんとはそう思ってたのかよ、と驚きではないただのあっけなさだけが残り、取ってつけたようなラストシーンも、「ゆれる」の最高のラストを知っているせいもあるが、強引さが否めない。

この映画は自分には微妙であったがその手法は非常に好きな部類で
あるのでぜひそれが活きる舞台設定で「ゆれる」を越えるような映画を作ってほしいなと思う。

「ゆれる」
を全く知らないフラットな状態でこの映画を見たかったと思うが、いくらあまり映画を昔ほど見なくなったとはいえ、それは無理であった。
監督:李相日
出演:妻夫木聡、深津絵里、岡田将生、満島ひかり、樹木希林、柄本明 他

長崎のさびれた漁村に生まれ、自分勝手な母に代わり、引き取られた祖父母に育てられた青年、清水祐一(妻夫木)。現在は、土木作業員として働き、年老いた祖父母を面倒見るだけの孤独な日々を送っていた。そんなある日、出会い系サイトで知り合った福岡の保険外交員・石橋佳乃(満島)を殺害してしまった祐一。ところが、捜査線上に浮上してきたのは福岡の裕福なイケメン大学生・増尾圭吾(岡田)だった。苦悩と恐怖を押し隠し、いつもと変わらぬ生活を送る祐一のもとに、一通のメールが届く。それは、かつて出会い系サイトを通じてメールのやり取りをしたことのある佐賀の女性・馬込光代(深津)からのものだった。紳士服量販店に勤め、アパートで妹と2人暮らしの彼女もまた、孤独に押しつぶされそうな毎日を送っていた。そして、話し相手を求めて祐一に久々のメールを送った光代。やがて、初めて直接会うことを約束した2人だったが…。

公開当時映画館に観に行き非常に記憶に残った映画。もう一度見てみたくなったので見てみたがやはりおもしろかった。たいくつする時間が無く、引き込まれ、納得できる映画。死体や濡れ場など、あえて生々しい人間模様を描いていることもこの映画が見ていて飽きない理由の一つと思うが、もっと大きな理由は、登場人物の行動意図を考えたくなってしまい、少し考えるとそれがよく分かり、納得がいき、制作者の意図を感じ取れた気になるからではないかと思う。誰もが悪人のように見え、誰も悪くないように感じる。誰が本当の悪人なのか?というテーマのような要素を考えずにはいられない。なかなかよい最後のシーンも、初めて見たときはあれ?と思いエンドロール中ずっと考えることになってしまったが、まあ少し考えるとよく分かるのだ。見た人の多くが俺はこの映画の言いたいことが分かったぜ、と口に出してしまいそうな、そんな納得感のある、平たく言うと分かりやすい映画である。

そもそもあまり分かりづらい映画が得意でない自分としては、若干考えることもでき、納得もでき、終わりに驚きもあるこの映画を非常に評価できる。丁度よい、というか、いい湯加減、というか。「フラガール」も大変好きな映画だし、今のところこの監督は好きということになる。他の映画も見てみたいと思う。

さてこの映画では記憶に残るよいシーンがいくつもある。ラストはもちろん、柄本明や樹木希林のシーンはおそらく何年経っても頭に残るシーンであると思う。これと言うシーンがあるわけではないが深津絵里の一つ一つの仕草は、非常にキャラを捉えていてよかったと思う。田舎くさい感じが。少し見ていてイライラしてしまう感じが。妻夫木はちょっとやっぱどうしても爽やかに見えてしまうのが残念。

犯罪を正当化する映画ではない。どんな理由でも悪人は悪人。しかしそんな悪人も、好きでそうなったのではない。人を愛する優しい心も持っている。そんな心が見えるから、この映画を見るとほっとする。非常によい映画。

しかしどうしても気になったのは、妻夫木が黄色い髪に青い服、深津絵里が赤い服。信号機のような色合い。どれか一つでも変えればよかったのに。そのせいでこの映画は星2つ半だ。
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Trailer
「STAR WARS エピソード1/ファントム・メナス 3D」(2012)

公開:2012/03/16
監督:ジョージ・ルーカス
出演:リーアム・ニーソン、ユアン・マクレガー、ナタリー・ポートマン、ジェイク・ロイド 他
原題:「STAR WARS: EPISODE I - THE PHANTOM MENACE 3D」
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Academy Awards
第84回アカデミー賞 2012
作品賞:「アーティスト」
(原題「THE ARTIST」)

監督賞:ミシェル・アザナヴィシウス
(「アーティスト」)

主演男優賞:ジャン・デュジャルダン
(「アーティスト」)

主演女優賞:メリル・ストリープ
(「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」)

助演男優賞:クリストファー・プラマー
(「人生はビギナーズ」)

助演女優賞:オクタヴィア・スペンサー
(「ヘルプ~心がつなぐストーリー~」)

脚本賞:「ミッドナイト・イン・パリス」
(ウッディ・アレン)

脚色賞:「ファミリー・ツリー」
Ranking
TMDiary Ranking 2012
(2012/02/29現在)
■映画館部門
1位「メランコリア」
2位「ALWAYS 三丁目の夕日'64」
3位「ヒューゴの不思議な発明」

■DVD部門
1位「ブラック・スワン」
2位「スクラップヘブン」
3位「ディア・ドクター」
4位「マイ・バック・ページ」
Library
TMDiary Library

2005/03
「エターナル・サンシャイン」(2004)


監督:ミシェル・ゴンドリー
出演:ジム・キャリー、ケイト・ウィンスレット、マーク・ラファロ、キルスティン・ダンスト、トム・ウィルキンソン、イライジャ・ウッド 他
原題:「ETERNAL SUNSHINE OF THE SPOTLESS MIND」

さよならの代わりに記憶を消した――ケンカ別れしてしまったジョエル(J.キャリー)とクレメンタイン(K.ウィンスレット)。ラクーナ社からの手紙でジョエルはクレメンタインが自分との恋愛の記憶を消してしまったことを知る。彼女が働く本屋に行っても、自分のことを覚えていないうえに別の男といちゃいちゃ(!?)する彼女の姿を見てショックを受けたジョエルは自分も彼女との記憶を消すことを決意し、ラクーナ社を訪れる。脳を分析し彼女との記憶だけを一晩で削除するという過程の中で、ジョエルは彼女との楽しかった日々を思い出してゆく。

→この映画のTMDiaryへ。